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陳水扁前總統に對する政治裁判
伊原註:以下は、ネット に 流れてゐた文章二つです。
どちらも、9月11日、米國の中樞同時テロの日に判決が下された、
台灣の陳水扁前總統に對する判決を扱つてゐます。
ご参考までに──
曹長青 「 陳水扁 『 罪 』 在 ロ那裡? 」
( 「 星期專論 」 自由時報 9.13/04:09/ 『 自由時報 』 9.13,4面 )
陳水扁が一審で重刑に處せられたのは全くの豫想通りである。一年餘、檢察も 裁判所も 扁案の審理過程で司法の公正を踏みにじつてきたことからして、この重刑は豫測できた。事實、扁案が正式起訴される前から陳水扁の罪は確定してゐた。
台灣は 20年の民主化過程を經ながら 今のように司法が中國國民黨の御用機關に墮したのは 台灣の悲哀であり 台灣の悲劇 である。
中國國民黨は台灣で專制支配すること50年、台灣人民に對する鎭壓・迫害・蔑視・洗腦により 無數の生命の損失と家庭の悲劇を造成してきた。
それでも陳水扁率ゐる民進黨の執政後、國民黨の台灣人民迫害を何ら清算せず、却つて衝突回避に最大限の努力を傾け、轉型期の平和を重んじた。
陳政権は、國民黨の巨額の黨資産問題に對しても、宋楚瑜の巨額の海外送金問題に對しても、其他諸々の問題についても、一向激烈な手段は採らなかつた。
この遣り方が正しかつたかどうかはともかくとして、この甘い遣り方が、陳政権の兩黨衝突を緩和して穩に正常な兩黨政治の展開を迎へたいとの願から出てゐたことは間違ひない。
馬政府已成北京傀儡
だが中國國民黨の馬英九政權が就任すると、昔犯した國民黨の台灣人民迫害を悔ひぬばかりか、政權復歸を機會に國民黨が新しい民主政黨に生れ變つて新面目を發揮して欲しいと願ふ台灣人民に對して、直ちに殺氣立つた清算の雰圍氣を漂はせた。
陳水扁前總統のあとを繼いだ途端、一連の緑陣營指導者を起訴したのである。
そしてその後、時と共に愈々鳴物入りの空騒ぎをし、益々頻繁に對岸の共産黨政權と合作して、今までの執政一年の間に早くも北京の傀儡政權の地歩を固めた。
陳水扁案に對して逐一馬政權の直接干與があるほか、北京政府の黒い影も付き纏つた。
陳水扁の家族が汚職したのなら當然審判にかけねばならず、そのことは、前政權の國民黨の官員も腐敗汚職していたこととは關係ない。
但し問題は、扁案の審理を始めた途端、司法が手續の正義に背いたことである。
この状況下では、陳水扁案は全面否定さるべきである。
檢察側が正當な主張をしてゐる自信があり、證據が明確だつたら、彼らは、メディアで有罪を宣傳したり、司法官を途中で取替へたり、長期拘留したり、拘留してから改めて證據を集めたりなどといふ一連の筋違ひな違法行為をする必要は全然なかつた筈だし、更に陳水扁の陳述を故意に夜半にまで引延ばして メディア が原稿を書けぬやうにしたり、記者が全員待ちきれなくなる迄時間稼ぎしたり、被告が疲れきるのを待つてやつと口述させたりする必要もなかつた筈だ。
だが檢察側が、これら一連の酷い司法手續違反や卑劣な小細工を弄したため、誰もが、陳水扁案件には金輪際司法の公正などない、汚職容疑は彼らの卑劣な武器に過ぎない、と確信するに到つた。
台獨被等同恐怖主義
彼らは 911 の米中樞同時テロ記念日の 當日、陳水扁に判決を下した。
これは明かに、台灣人民にこう告げたのだ。 「 陳水扁はテロ分子だぞ 」 と。
彼らにとつて、陳水扁は總統の職位を簒奪したテロ分子なのだ。
その昔、馬英九が ハーヴァード大學に留學してゐた時、台獨運動を テロリズム と 同一視した論文を書いたではないか?
國民黨は台獨論者をテロ分子と見てきた。兩蒋時代然り、今また然り!
國民黨政權が 以前は 全くなかつた親共・聯共態勢の下で、陳水扁を最初に屠殺の對象にしたのは、何ら奇怪ではない。
緑陣營でも當然、陳水扁の家族に嚴しい目を向ける者がゐるし、扁案が緑陣營に重傷を負はせたと憤激する者もゐるのは當然であるし、理解できる。
陳水扁は本當に汚職したのか? といふ疑問は排除できない。
だが、これは第二歩の問題だ。
その前に、何より先ず必要な 「 司法の公正な環境 」 が問はれねばならない。
司法が公正であつて初めて、陳水扁が汚職したのかどうかが問へる。
今のやうに司法が巨大な不公正を犯してゐて、その審理方法が全面的に否定さるべき案件に對しては、誰しも正しく公正な判斷などおよそできる譯がない。
陳水扁案は、檢討する方法を奪はれてゐるのだ。
我々は、第一歩の司法の公正問題を追求することなしには、第二歩の陳水扁の犯罪の問題を追求できないのである。
辧緑不辧藍政治清算
多くの西側左派は、中國や中東諸國に西側流の民主主義の道を押付けない。
その理由は、西側は完璧ではなく、米國も問題だらけだから、といふのだ。
だがこれは、第二歩の問題である!
自由があり選舉があつて初めて、次の、完璧か否かの問題に迫れるのだ。
第二歩の問題があるからといつて、第一歩の問題追求を控へてはならない!
陳水扁の家族の酷い汚職問題の故に、第一歩の司法の公正に對する我々の要望を弱めてはならない。
そんなことをすれば頭腦が曇るばかりか、馬英九政權の思ふ壺に嵌つてしまふ。
扁案は司法の酷い不公正といふ事實のほかに、ここにはなほ、歴史共業の問題がある。
檢察側が糾彈する陳水扁の汚職が事實か否かは勿論、國民黨官員が一概に法の外にあり、緑を糾彈して青は糾彈せず、陳水扁を絞り首にする遣り方は、疑問の餘地のない政治の清算だ。
檢察側はこの案で、一連の公然たる權力濫用をやつてのけた。
檢察側の權力濫用は、いかなる個人の汚職行為に較べても、台灣の民主主義に對して格段に強烈で格段に永く破壞力を發揮する。
而もこの種の、政府が司法を利用して政治報復をすることから生ずる危害は、百人千人の陳水扁の汚職とは比べ物にならぬ大害を生む。
その被害の酷さは、とてもとても同日の談ではない!
台獨是罪! 入聯是罪!
馬英九を頭とする中國國民黨が主導する下での扁案の性質について、私は中共の元外交官陳有爲が シンガポール の 『 聯合早報 』 に掲載した文章を援用して、皆さんに警告したい。
陳有爲曰く、
陳水扁の罪行は經濟に關るばかりか、政治にも關る。
この 8年間、陳水扁は 「 一邊一國 」 ( 台灣も中國も一國 ) といふ台獨政策を強力に進めて來たばかりか、政治・經濟・社會・文化の領域で 「 脱中國化 」 を大々的に進めた上、 「 國連加盟 」 活動も進めた。
金錢外交で國際空間を擴げる妄想も企圖した。
陳水扁は台灣有史以來、人民に最大の損失を與へ、最大の災難と最大の苦痛を與へた指導者なのだと。
皆さん、よくお判りか。
台獨は罪!
一邊一國も罪!
台灣の國連加盟も罪!
これぞ一言で、國共兩黨が手を携へて陳水扁に重罪を判決した經典的宣言なのである。