新年おめでたうございます

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伊原註:伊原ゼミ三碓会の皆さんと一部の方々にプリントアウトして出した年賀状兼活動報告です。

インターネット検索できる方々のため、原稿をここに掲示します。

長い間 「 歴史的假名遣ひ 」 を使はなかつたためと、ワープロが現代假名遣ひ用に出來てゐるため、つひそれが殘りますが、お氣付きの間違ひあれば御教示下さい。

當分は、一部の文章だけを 「 正字 」 「 歴史的假名遣ひ 」 で書くことにします。





                       平成21年元旦



      新年おめでたうございます



                       伊原 吉之助



  皆樣、希望の持てる新年を迎へられますやうに! 近況報告を兼ねた賀状です。

  ( 合同ゼミの課題通知を兼ねてゐるので、御不幸があつた方にも出します。今年から占領政策の日本語潰しを跳返すため、正字・歴史的假名遣ひにします。讀慣れ、正字の美しさを堪能して下さい )


  昨年は天下動亂の年、シナでは天變地異相次ぎ、アメリカでは強欲資本主義の破綻が明らかになりました。かくて天下大亂は今年、更に深刻化する恐れがあります。私達は動ぜず、強く正しく美しく生きて行きませう。


  台灣が中國に併呑される道に入りました。シナ人の陰謀癖と執念深さを知らず、知らうともせぬ暢氣な台灣の若い世代が、馬英九率ゐる中國國民黨を支持したからです。私は、台灣人は二度と本土派政權をつくらせて貰へないのではないかと危惧して居ます。さうならぬやうに祈るばかり。


  更に、米國發金融危機です。ノアの方舟以來の人類激減の危機を招來せぬやう、これまた祈るばかり。

  危機をこれ以上擴げぬやう、全身全靈を絞つて奮闘致しませう。

  人類が生延びるには、賢い人を盛立てて、その人達の智慧に從はねばなりません。

  小賢しい智慧を棄てて深く省察し、度胸を据ゑ、覺悟を決めねばなりません。

  民主主義とは、就き從ふに足る智慧と勇氣のある人を見つけ出す方法の筈。間違つても、小泉チルドレンのような無能な人達を選んではなりませぬ。自滅は避けませう。


  私は、私達の祖先が營々として築ゐて來た 「 日本人の生き方 」 の中に、世界人類を救ふ智慧ある生き方が存在すると確信して居ります。


  二二六事件で蹶起した青年將校の一部の人は 「 維新 」 と 「 革命 」 を混同してゐます。

  革命とは現状の全面否定です。歴史の斷絶です。

  維新とは復古、即ち古き良き傳統の復活再生です。

  人生には、變りにくい部分と變りやすい部分があります。普遍的部分と枝葉末節部分と言つても宜しい。變りにくい部分、變へてはいけない部分を活性化するのが 「 復古 」 であり 「 維新 」 なのです。

  かういふ普遍的部分があるから、遙か昔に生きたソクラテスや釋迦や孔子の言葉が今も私達を勵まし教へ導いてくれるのです。

  その普遍性への注目こそ、コンピューター の 頤使に甘んずる現代人が顧みるべき焦點だと思ひます。


〈外國旅行〉

  台 灣 ( 1月6日〜15日 ) :

目的 ( 1 ) =台灣大學集中講義 「 文明史上の台灣と日本 」 10回。日文科修士課程の學生十數名相手に日台が島國であること ( 海洋史觀 ) 、日本が18世紀、世界史上最初に高信用社會を作り、歐洲諸國が19世紀に追隨したが、シナと ロシヤ は 21世紀の現在、なほ低信用社會の域を出てゐない、云々と説きました。中華文化圏にあつた台灣は、日本時代に文明國の仲間入りした、と。


目的 ( 2 ) =12日投開票の立法委員選擧視察。得票率で國民黨 51.23% /民進黨 36.91% だが、小選擧區制のため、議席では國民黨 3/4/民進黨 1/4と差が開きました。國民黨系メディア が 「 民進黨の無能・腐敗 」 を 宣傳しまくつたのに有權者が乘せられた、と 私は解釋します。陳水扁率ゐる民進黨本土政權への反撥が、長年、台灣と台灣人を輕視してきた 「 中國 」 國民黨支持に向かふところに 「 台灣人の悲劇 」 があります。


  台 灣 ( 3月19日〜29日 ) :

目的 ( 1 ) =22日投開票の總統選視察。立法院選の大差に對して民主主義の チェック・アンド・バランス の 平衡感覺が働き、總統は民進黨の謝長廷を選ぶ? と 期待したのに國民黨支持は搖がず、馬英九・蕭萬長組が 766萬票 58.45% /民進黨の謝長廷・蘇貞昌組が 545萬票 41.55% ( 221萬票 16.7%差 ) で國民黨が勝ちました。この開きは資金力・宣傳力の差です。


目的 ( 2 ) = 27〜28日に開催された第35回日台 「 アジア太平洋研究會議 」 參加。 2日目の圓卓會議 「 台灣總統選擧の影響と日台關係の展望 」 で 8人の パネリスト が意見表明。私は先陣を切つて總統選評を陳述。民進黨の敗因を本土派の未熟+多數を頼んだ國民黨の横暴、國民黨の勝因を馬英九による國民黨の變貌とまとめ、票の固定 ( 軍公教退職者への 18%優遇利子/金門・馬祖・澎湖・台東・花蓮・原住民 6議席・新竹縣市の 13議席が國民黨に固定 ) ・買収の横行 ( 日本資産を不當に取得した黨産問題 ) ・台灣に合はぬ中華民國憲法を變へられない奇怪さなど、台灣の選擧にはなほ問題點が澤山あり、今回の選擧が 「 台灣の民主主義の成熟 」 とは迚も言へない、と纏めました。今回の本土勢力大敗によつて台灣人が奮起すればこの敗選は意味がありますが、さうでなければ台灣はお先眞暗です。他の パネリスト は 今後の展望に論点を絞りました。


  台 灣 ( 6月24日〜29日 ) :

目的 ( 1 ) = 5月24日に食道癌で亡くなつた李清興さんの告別式に出席。享年61歳。まだまだ活躍して頂きたかつたのに! パソコンで生前の寫眞を次々 プロジェクター で前方二つの畫面に映しながら、挨拶や弔辭が續きました。弦樂隊が音樂を奏で、パソコン畫面でも屡々 「 故人が好きだつた曲 」 が流れました。台灣の歌や 「 惜別の歌 」 「 千の風になつて 」 も。私は參加者全員で Amazing Graceを歌ひたくて歌詞 を 160枚準備して居ましたが、歌ふ機會なし。李清興さんは常に笑顔で、だから寫眞も殆ど全部笑顔でした。いい告別式だつたなあ……。


目的 ( 2 ) = 「 台灣年表・覺書 」 2008.3.〜6.の 印刷配布と、馬英九總統就任後の台灣事情の視察。

こちらも収穫大! 馬政權登場で台灣の民主化が大幅退化してをり、賣物の 「 經濟 」 の惡化で馬英九への滿足度ががた落ちしてゐました。


〈文章關係〉

 1 ) 『 關西師友 』 世界の話題: 「 中國に清末状況が再現? 」 ( 新年號 ) 、 「 台灣企業家の統一論議 」 ( 2月號 ) 、 「 洞察力を磨かう! 」 ( 3月號 ) 、 「 台灣の "現状維持" 」 ( 4月號 ) 、 「 台灣本土派の挫折 」 ( 5月號 ) 、 「 國體の危機 」 ( 6月號 ) 、 「 木戸幸一の保身 」 ( 7月號 ) 、 「 日本の前途を考へる二冊 」 ( 8月號 ) 、 「 昭和天皇と廣田弘毅 」 ( 9月號 ) 、 「 壯大な日本現代史論 」 ( 10月號 ) 、 「 『 昭和天皇 』 第二部 」 ( 12月號 ) 、 「 日本國民の變質解體 」 ( 新年號 )

 2 ) 文明史上の台灣と日本 ( 1.7〜11 の 5日間:台灣大學日文系集中講義レジュメ A4 14頁 )

  →21世紀日亞協會 「 コラム 」 欄の 「 伊原吉之助教授の讀書室 」 に 掲載濟

 3 ) 學研の地球儀 「 台灣 」 を 「 中國 」 表記した問題記事に コメント ( 『 夕刊フジ 』 1.9付掲載 ) → 『 産經 』 初め、世界中の新聞が轉載。台灣では 『 自由時報 』 が10日付 8面に掲載。

 4 ) 台灣立法委員選へのコメント 「 與野黨捲込む政界再編へ 」 ( 『 産經新聞 』 1.13,4面 )

 5 ) 台灣總統選:昏迷か決戰か ( 『 ASIAN REPORT 』 No355/平成20.1.15,3-15頁 )

 6 ) 年頭所感:日本弱體化政策の毒が回つてきた ( 『 國民新聞 』 平成20.1.25號 2面 )

 7 ) 台灣に鳴り響いた 「 神の聲 」 /中道派が政局混迷の突破口を開く ( 正論 『 産經新聞 』 1.29, 16面 )

 8 ) 大阪市の上海 「 同濟 」 「 復旦 」 兩大學分校誘致問題記事に コメント: ( 『 夕刊フジ 』 3.14,3面 )

 9 ) 六甲の坂道の恩惠 ( 日本萬歩クラブ機關誌 『 歸れ自然へ──アルク── 』 4月號, 4頁 )

10 ) 台灣の昏迷 西太平洋波高し ( 『 戰中派 』 第420號 6.1,1面 )

11 ) 『 ウェストサイド物語 』 の魅力 ( 劇團四季機關誌 『 La Harpe 』 6月號,34〜35頁 )

12 ) 危ふい台灣の民主主義 ( 念報眞教機關誌 『 鶯乃聲 』 8月號, 26〜37頁 )

13 ) 台灣の將來豫想と日台關係 ( 東京台灣の會 『 台灣研究資料50 』 2008.9.1, 1〜10頁 )

14 ) 馬英九政權の台灣 ( 『 日本 』 12月號, 12〜 18頁 )

15 ) 吉村記者の記事 「 『 台湾 』 表記で丸く収つた地球儀 』 に コメント ( 『 夕刊フジ 』 12.3付掲載 )

  →吉村記者の話では、 「 削られて短くなつてしまつた 」 由

16 ) 「 日本の再生 」 こそ世界を救ふ ( 正論 『 産經新聞 』 12月10日19面/東京版13面 )

17 ) 馬英九政權七ヶ月:世代交代と前途不安の台灣 ( 拓大 『 海外事情 』 1月號,1〜14頁 )

18 ) 東亞安定の要:日本と台灣 ( 台灣・台中・靜宜大學シンポジウム報告論文 )


〈口頭発表〉

1 ) 1月7〜11日台灣大學日文系集中講義 ( 台北 ) : 「 文明史上の台灣と日本 」
2 ) 1月18日蘆屋讀書會 ( 津村宅 ) : 「 台灣報告:台大講義と立法院選擧 」
3 ) 1月22日岸和田健老大學 ( 岸和田 ) : 「 親日國台灣の實情 」
4 ) 2月16日大和心のつどひ ( 大阪・難波神社 ) : 「 台灣總統選擧の行方 」
5 ) 3月9日伊原ゼミ三碓會 ( 大阪・鶴橋 ) : 「 森と木の文明──その生存と繁榮の道 」
6 ) 3月28日第35回日台 「 アジア太平洋研究會議 」 ( 台北 ) の 圓卓會議で 「 台灣總統選の論評 」 報告
7 ) 4月2日マスコミ綜合研究所第283回定例研究會 ( 東京 ) : 「 總統選擧の結果と今後の台灣 」
8 ) 4月5日河内國民文化研究會 ( 八尾 ) : 「 台灣總統選:西太平洋波高し 」
9 ) 4月10日21世紀日亞協會第137回例會 ( 大阪 ) : 「 東アジア の 前途──西太平洋 波高し 」
10 ) 4月11日神戸婦人有權者聯盟 ( 神戸 ) : 「 徳川の天下泰平の教訓 」
11 ) 5月29日關西戰中派の會 ( 大阪 ) : 「 台灣の混迷:西太平洋 波高し 」
12 ) 4月17日東京台灣の會 ( 東京 ) : 「 台灣の將來豫想と日台關係 」
13 ) 9月12日第10回台灣問題座談會 ( 大阪 ) : 「 馬英九政權の狙ひと台灣の將來 」
14 ) 9月20日正道塾九月例會 ( 神戸 ) : 「 日本社會の來し方行く末──腐つてきた日本── 」
15 ) 10月16日第6期 CMMS: ( 大阪 ) : 「 世界史に於るシナ近現代史 」
16 ) 11月11日關西師友協會時務講座 ( 大阪 ) : 「 西太平洋 波高し:米新政權と 東アジア 」
17 ) 11月14日關西日本香港協會 ( 大阪 ) : 「 シナ近代化の問題點と今後の展望 」
18 ) 12月5日21世紀日亞協會第145回例會 ( 大阪 ) :侃々諤々の會 「 問題提起二つ 」
19 ) 12月27日EAS 研究會 ( 神戸 ) : 「 大正デモクラシーの終期と昭和史の展開 」
20 ) 1月16日蘆屋讀書會 ( 津村宅 ) : 「 美しく良き日本を亡ぼすな 」
21 ) 2月15日八尾市議 三宅 博を勵ます會 ( 上六 ) で發起人
22 ) 2月28日大阪倶樂部で午後、 「 忘却の二二八事件と台灣の危ふい前途 」 講演
23 ) 5月23日台灣・台中・靜宜大學シンポジウム報告: 「 東亞安定の要:日本と台灣 」


「 伊原ゼミ三碓會 」 ( 伊原擴大ゼミ勉強會/自由參加 ) 預告


日 時:3月27日 ( 金 ) 豫定 ( 豫約 2ヶ月前からのため、現在は未確定 )  11時〜16時30分

場 所:西宮市大谷記念美術館 和室 ( 展覧會+庭園巡り )

食 事:明月記のお辨當 ( 取寄せ )

參加費:約3500円

  あと、櫻が開花して居れば、夙川河畔の花見 ( 伊原註:有名な櫻並木ですよぉ! )

二次會:17:30〜 カフェ レストラン シーズ・ガーデン香櫨園店 ( 豫算 2000〜3000円 )


問合せ先:岡部美紀子 TEL 0797-77-4791

       末廣 文子 TEL 075-461-8902


勉強會 の テーマ: 「 日本文明史に於ける和魂と荒魂 」


  私は 「 日本の再生こそ世界を救ふ 」 ( 正論 『 産經 』 平成20年12月10日 ) で再び美と崇高への獻身を言ひました ( 拙稿 「 動物文明から植物文明へ轉換しよう 」 正論 『 産經 』 平成19年 3月24日 ) 。それは和魂にぎみたま の産物です。しかし動物文明の保持者に狙はれやすい。それを防いで生き延びるには、荒魂あらみたま を具へてゐなければなりません。文武兩道でないと亡ぶのです。この二つの御靈が バランス良く交互に顯現するのが日本史です。それについて勉強してみたいと思ひます。


參考文獻:

  ( 1 ) 西尾幹二・中西輝政 『 日本文明の主張 』 ( PHP研究所、2000.12.5 )  1600円+税


  ( 2 ) 中西輝政 『 國民の文明史 』 ( 産經新聞社/扶桑社、平成15.12.20 ) 1714円+税

  本書では中西輝政は 「 彌生的なるもの 」 「 縄文的なるもの 」 の對比、また 「 ますらおぶり 」 「 たおやめぶり 」 といふ對比を打出してゐるが、最近の雜誌論文では 「 荒魂 」 「 和魂 」 とも表現してゐます。

  私は江戸時代の武士の 「 文武兩道 」 といふ言葉を聯想します。

  戰後の 「 平和惚け 」 日本は、荒魂を封印してしまつたので平衡を失ひました。

  平衡を取戻すべく、この問題について考へてみませう。


  ( 3 ) 北岡俊明+戰史研究會 『 戰史に學ぶ教訓 』 ( PHP研究所、2008.7.7 ) 1500円+税金

  戰史の研究を通じて、戰前の日本と日本人の良さを掘起してゐます。

  ここに、日本が滅亡を避ける道が示唆されてゐます。

  美と慈悲と崇高を尊ぶ日本文化を亡びさせぬためには、無法を退ける敢闘精神と 「 強さ 」 が必要です。


  ( 4 ) 北村稔・林思雲 『 日中戰爭:戰爭を望んだ中國 望まなかつた日本 』

                           ( PHP研究所、2008.11.7 )    1400円+税

  阿羅健一 『 日中戰爭は ドイツ が 仕組んだ:上海戰 と ドイツ軍事顧問團の謎 』

                          ( 小學館、2008.12.21 )    1500円+税

  中川八洋 『 近衞文麿とルーズヴェルト:大東亞戰爭の眞實 』

                           ( PHP研究所、1995.8.17 )  1800円

  中川八洋 『 山本五十六の大罪:亡國の帝國海軍と太平洋戰爭の眞實 』

                           ( 弓立社、2008.6.10 )    2200円+税


  上記 4冊は、支那事變・大東亞戰爭 の 「 通説 」 「 常識 」 を 大きく覆します。

  日本人必讀の文獻です。