中国外交部の要求 「 台湾人の出生地を 『 中国 』 にせよ 」

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伊原注:



 我国の外務省や法務省は、台湾人の国籍を 「 中華民国 」 でも 「 台湾 」 でもなく 「 中国 」 としますが、その根拠は、中国外交部の以下の指令にあるようです。




 中国外交部の要求 「 台湾人の出生地を 『 中国 』 にせよ 」



 2003年7月16日付の台湾紙 『 自由時報 』 1面に、次のような報道があります ( 拙稿 『 台湾の政治改革年表・覚書 ( 2003年 ) 』 交流協会、2004.3.31, 272頁 ) 。


 中文の見出しは以下の通り。

  「 拿出生地大作文章 中國全面圍堵台灣護照/要求各國台僑照生地須改為中國 國安會評估為打壓我護照加註台灣政策 不排除採取抗議行動 」


 大意=中国外交部は2003年 7月15日午後、世界各国の旅券発行機関に対して、自国公民の旅券の 「 出生地欄 」 に、これまで 「 台湾・台北 」 TAIPEI TAIWAN ・ 「 香港・香港 」 HONG KONG HONG KONGとしたものがあったが、これを 「 香港 」 HONG KONG ・ 「 中国 」 CHINA ・ 「 中国・香港 」 HONG KONG CHINA・ 「 香港特別行政区 」 HONG KONG SAR 或いは 「 中国・香港特区 」 HONG KONG SAR CHINA と改めるよう求めたと発表した。中国外交部はいう、 「 台湾・台北 」 ・ 「 香港・香港 」 と表記するのは台湾及び香港を国家として扱うものであり、中国は受入れられない、と。


 日本の外務省や法務省は、日本政府 ( 台湾を 「 中国領 」 と認めていない ) ではなく、中国外交部のこの要求に従っているのでしょう。

 この事態を放置してきた日本政府の怠慢は、独立国の政府であることを疑わせます。


 以上、ご参考までに。


 平成20年2月29 日

伊原吉之助