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今なほ續く聖戰
伊原註:これは(288)『関西師友』新年號 18-19頁に掲載した
「世界の話題」(288)を採録したものです。
少し増補してあります。
これを書いた理由は、11月上旬に台灣大學で開催された
第四回日本研究年次大會「國際日本研究の可能性を探る」に於て
私が「大東亞戰爭は東南アジアの殖民地を歐米諸國から解放した
「良い戰爭だつた」と言つたのに對し、
台灣側から「日本の罪は東京の極東國際裁判で決定濟」
との反論が出たことに對する反撃です。
その時は「反撃」の時間がなかつたので、
歸國後、これを書いて反論した本人に郵送しました。
12月8日に先人を偲ぶ
大東亞戰爭とはどんな戰爭だつたのか?
第一、あの戰爭が
米(フランクリン・デラノ・ローズヴェルト:FDR)
ソ(スターリン)による
「日支革命推進」に發した戰爭だつたことは、
本誌七月號に
「米FDR政權の目標は日中の共産化だつた」
と題して書きました。
我國は幸ひ、武士道及び皇室を中心に美と慈悲を尊ぶ平和共存の文化的傳統が根強く、
共産化を撥ねつけましたが、
米占領軍が仕掛けた「日本の國體破壞」の仕掛けが時と共に效果を發揮し、
御覧の通り、樣々な醜態を曝(さら)け出してをります。
伊原註:我國がサンフランシスコ講和條約で「獨立」したにも拘らず、
「占領體制」即ち「日本弱體化政策」の數々を自主的に引繼ぎ、
「拳拳服膺」して來たからです。
日本を戰爭出來ぬ國にした「新憲法」さへ
まだ「無效」にしてゐないばかりか、
その有效さを認める「改憲論」が唱へられる體たらくです。
新憲法無效論の普及徹底を望みます。
中國は、トルーマン民主黨政權が送り込んだ
マーシャル特使の中共支援策の下で共産化しました。
參照:ジョゼフ・マッカーシー著/副島隆彦監修・解説/本原俊裕譯
『共産中國はアメリカがつくつた:G.マーシャルの背信外交』
(成甲書房、平成27年/2005.12.25) 1800圓+税
スターリンがもう少し狡猾に立ち回つてゐたら、共産化はもつと擴つてゐた筈です。
第二、あの戰爭は、
人種不平等に對する我國の挑戰が基本にあり、この點では大成功を收めました。
日本が敢然と白人の世界支配體制に挑戰したおかげで、
第二次大戰後、殖民地は維持しにくくなつたからです。
參照:チャオ埴原三鈴・中馬清福『「排日移民法」と鬪つた外交官』
(藤原書店、平成23年/2011.12.30) 3600圓+税
カレイ・マックウィリアムス (渡邊惣樹譯)
『日米開戰の人種的側面:アメリカの反省1944』
(草思社、平成24年/2012.7.31) 2600圓+税
米國は東京裁判を通じて「日本惡者史觀」を演出しました。
聯合國は東京裁判の時期に何をしてゐたか?
英佛蘭とも、殖民地回復に狂奔してゐました。
(香港・佛印・蘭印・ビルマ・印度)
日本兵は何千人も現地に殘留して殖民地獨立戰爭に協力しました。
參照:佐藤 守『大東亞戰爭は昭和50年4月30日に終結した』
(青林堂、平成24年/2012.12.8) 1905圓+税
殖民地獨立を支援した日本と、
殖民地温存に動いた聯合國と、
一體どちらが惡者か、一目瞭然ではありませんか。
世界の安定勢力・日本
人種不平等に對する日本の戰ひは、ペリー來寇に始ります。
條約改正運動然り、カリフォルニア州の日本人排斥運動然り。
だから第一次大戰後のパリ會議で我國は人種差別撤廢案を提起しました。
この提案は、十一對五といふ多數の贊成を得たのに、
議長ウィルソン米大統領が
「かういふ重要案件には滿場一致が必要」
と勝手な條件を附けて否決しました。
對米開戰の日に多くの日本人が爽快さを感じたのは、
この不當な差別への挑戰が「聖戰」意識を鼓舞したからです。
いま東アジア情勢は、十九世紀末に酷似してゐます。
東アジアの不安定要因(ごて屋)はシナと朝鮮です。
我國は、阿片戰爭及びペリー來寇により
東アジアに開國壓力(國民國家形成壓力)がかかつた時、
明治維新を實施して國民國家形成に努め、
隣國の李朝朝鮮・清朝兩國にも
西力東漸への對處で協力を働きかけました(大アジア主義)。
所が李朝朝鮮が清朝引入れを策したため日清戰爭を戰ひ、
其後、清朝の李鴻章と李朝朝鮮がロシヤを引込んで日本に懲罰を加へる
「以夷制夷」「遠交近攻」策を採つたため、
外國から借金をしてまでロシヤと戰ふ羽目になりました。
日露戰爭は辛ふじて戰勝に持込みましたが、
賠償金が得られず、日本は破産しかけます。
李朝朝鮮と清朝李鴻章のロシヤ引込み策さへ無ければ日本は外征などせず、
專ら殖産興業に勵んでゐたのに。
そして日本が日露戰爭で勝たなければ、滿洲は露領になつてゐた筈なのに、
それを感謝されたことは一度もありません。
工業化で國力を充實したい日本に外征を強ひ、
強兵の重荷を押附けた兩國に日本は謝罪と賠償を求めたい所ですが、
心優しき我が先人は恨み言ひとつ言はず、
黙々と兩國の近代國家化を支援し續けました。
參照:拙稿「東アジアの分水嶺──日清戰爭」
(「伊原吉之助教授の讀書室」平成19年/2007.12.15掲載)
でも今この兩隣國は日本に感謝するどころか、
あらぬ恨み言を並べ、日本を目の敵にしてゐます。
中共政權は、生體から内臟をとつて移植用に賣つたり、
チベット族やウイグル族に民族淨化を強ひるなど、ナチス以上の暴虐政權です。
利益を貪るため、土壤・水・空氣を汚染し、
近隣諸國にまで放射能塵や毒水を垂れ流してゐます。
その中共政權を「儲かるが故」に尊重し續ける國際社會の現状は、
嘆かはしい限りです。
人種平等を訴へ、「奪ふ文明」でなく「共存する文明」を求めて、
「足るを知り」、美と慈悲を尊ぶ日本の聖なる戰は、まだまだ續きます。
大東亞戰爭は、まだまだ終つてをりません。
然もその戰ひは、何よりも先づ我國國内の思想鬪爭を必要としてをります。
米國占領軍が垂れ流した「日本惡者史觀」に洗腦された日本人が
一杯育つてゐるからです。
參照:拙稿「正論:動物文明から植物文明へ轉換しよう」
(『産經』平成19/2007.3.27)
拙稿「正論:日本の再生こそ世界を救ふ」
(『産經』平成20/2008.12.10)
(以上、何れも「讀書室」掲載濟)
(平成25年/2013.12.8)