日米百年戰爭の行く末 - 伊原教授の読書室

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平成26年元旦

    新年おめでたうございます

伊原  吉之助




  皆樣、希望の持てる新年を迎へられますやうに。これは、近況報告を兼ねた賀状です。

  (合同ゼミの課題通知を兼ねてゐるので、御不幸があつた方にも出します。

  (また、戰後育ちに戰前の書物を讀めなくした占領政策の「日本の傳統斷絶陰謀」

  (「語彙激減による知識人幼稚化陰謀」を跳返すため、正字・歴史的假名遣ひにします。

  (正字の端麗さと歴史的假名遣の格調の高さを味はひ、讀慣れて下さい。

  (日常は略字・現代假名遣を使つて宜しいが、

  (正字・歴史的假名遣にも慣れて下さいますやうに)


  平成24年末に安倍政權ができて日本もやつと「普通の國」になりさうですが、

  日本を敗戰國に留めて置きたい勢力が内外に數多居て、我國はなほ、前途多難です。


  11月23日 (土) 朝、背中に激痛が走つて起き上がれなくなりました。

  初めぎつくり腰と思つたのですが、

  經驗者である家内の見立てで「脊椎の壓迫骨折」らしいと判明。

  整形外科に行つてその通りと判りました。


  痛み止めの藥とコルセットとで起きる時の激痛はなくなりましたが、

  重いものは持てず、專ら自宅で靜養の日々です。

  會合の豫定は、21世紀日亞協會での台灣論の報告を初め、悉くキャンセル。

  發症原因は加齢+重い本の運搬。

  台灣でも重い本をどつさり運んだので、台灣で發症しなくて良かつたと胸を撫で下ろしてをります。


  半年靜養すれば復歸できさうなので、どうぞご心配なく。


【外國旅行】

台灣訪問 (9月5日~12日) :

  @『台灣の政治改革年表・覺書(2013.1.~9.)』を30部刊行・配布。日本の知友にも航空便で送る。


  A台北市内の書店で大陸出版の近現代史關係の本を多數購入。

    台北は、簡體字の本を賣る書店が増殖中。

    台灣が、文化面でも大陸に呑み込まれる勢であることがよく判る。

    大陸出版の本は、分野も多岐に亙り、翻譯書を含め、その知的貪欲さに壓倒される思ひ。

    但し、文化の吸收には時間がたつぷりかかる。

    “熟成" に時間が要るのである。國民性が一朝一夕では變らぬやうに、

    外國文化の吸收も急には行かない。


  B知友との意見交換。

    今回、迫田勝敏さんの紹介で、

    楊基銓 (故人) 夫人楊劉秀華さん (通稱“楊媽媽") 93歳 にお目にかかれて幸であつた。

    楊媽媽の方はとつくの昔から私をご存じで、

    産經新聞の「正論」などで私の台灣論説を讀んで「お目にかかりたく存じてをりました」由。

    斷固たる台灣派で強固な“反李登輝派" 。

    李登輝さんの台灣民主化の功績を辯護してをいたが、

    楊媽媽の李登輝批判は人間關係に誠實を缺くといふものであつた。

    御家族と一緒に戴いた家庭料理が實においしかつた。


  C台中の私立靜宜大學大學院で、院生相手に二つ講義。

    一つは日本史論、もう一つは日本との交換留學生相手の談話。

    折角台灣に來てゐるのだから、中國語と台灣事情をよく學ぶやうにと助言。


  D 9.11 ノ 馬英九總統の王金平立法院長追放劇に際會。新聞雜誌を買集めて歸國。



台灣訪問 (11月5日~13日) :

  @『台灣の政治改革年表・覺書(2013.6.~11.)』を 100部刊行・配布。

    日本の知友にも航空便で送る。記事中に「日本の良さ」を説いた記事を多數取入れたので、

    日本の國際的信用増大に貢獻する筈。


  A台北市内の書店で大陸出版の近現代史關係の本を多數購入。


  B台灣大學日文系が主催する第四回日本研究年次大會

    「國際日本研究の可能性を探る──人文・社會・國際關係──」 (8-9 ノ 2日 間) の

    「國際關係」で「專題演講」をする。

    基調講演 (2人、50分) に次ぐ 40分の時間を與へられ、思ひのたけを話した。

    (一般の報告は 15分だから、40分は實に貴重)

    あとで聽講者から「言ひにくい問題であれほどズバズバ話すのは伊原先生くらゐ」と言はれた。


  C知友と「台灣の前途」につき意見交換。

    台灣の前途に關する樂觀論を二つ聽く。  → 實は三つ聽きました。


    第一は、台灣は民主社會になつた、民主化は後退しない、だから中國と一緒になることはない、

    といふもの。

    台灣はこれまで街頭運動などの民意表明は政黨がした。だから效果は半減する。

    しかし拷問死した兵士の死に民間が自發的に街頭デモをした。

    政黨色がないから、各政黨ともこの街頭デモを無視できない、と。


    第二は、米國在台協會 AIT の台北事務所で司徒文 といふ中文名を持つ

    William Stantong が定年退職した。

    彼は ワシントン に歸らず、台北に留つてゐる。

    そして清華大學の教授になつた。

    CIA の OBが台灣に留まり續けてゐる。


    米國關係ではもう一つある。

    新築成つたアメリカ大使館は、ロシヤのアメリカ大使館に次ぐ二番目の要塞である。

    ここには海兵隊もゐる。

    これは、米國が台灣を放棄しないといふ意志表示である。


    第三は、TVBS の民調(民意調査、則ち電話による世論調査)です。

    (『自時時報』2013.10.31日附14面に紹介記事あり。10.24−28 實施)

    今年 3月にやつた時は、台獨支持が 68% だつたが、

    今回は 71% に殖えた。統一支持は 18% に留まつた。


    貴方は台灣人か中國人かといふ問には、78% が台灣人と答へた。

    中國人といふ答は 13%


    以上、三つを綜合すると、台灣は現状維持を續ければ宜しいといふことになる、と。



【文章關係】

1)『關西師友』世界の話題:

  「民主制の缺陷:内向きと刹那性」(新年號)

  「日本は米露中の良き友となれ」(2月號)

  「歴史隨想と傳記隨想」(3月號)

  「日本の再出發」(4月號)

  「『中國は經濟大國』の化けの皮」(5月號)

  「反日で政權維持を圖る習近平」(6月號)

  「米 FDR政權の目標は日中の共産化だつた」(7月號)

  「日本の前途を塞ぐ國際偏見の壁」(8月號)

  「高級言語と低級言語」(9月號)

  「日米百年戰爭の行く末」(10月號)

  「日本文明の出番」(11月號)

    (12月號は台灣行きのため休載)

  「今なほ續く聖戰」(新年號)

2)プーチンが歴史に名を殘す道(『國民新聞』第19181號/平成25.1.25,1面)

3)人口老齢化の嚴しい關門──問題提起──

    (關西日中關係學會・神戸社會人大學・櫻美林大學北東アジア綜合研究所共編

    (『勃興するアジアと日中關係』櫻美林大學北東アジア綜合研究所、2013.7.15,

    (1600圓+税、の第5章)

4)追悼・住田良能 産經新聞社長:現代史の見直しに貢獻/軌跡

    (『産經新聞社・社内文集』)

5)日本に對する國際偏見の壁憂ふ (正論『産經』8.27, 東京版 7面/大阪版 13面)

6)『台灣の政治改革年表・覺書(2013.1月-9月)』 (台灣で 30部刊行・配布)

7)世界の行末と日本文明 (台灣大學第四届日本研究年會での報告) :

    台灣で「増補版」を 100部刊行・配布

8)『台灣の政治改革年表・覺書(2013.6月-11月)』 (台灣 デ 100部刊行・配布)

9)習近平體制の基本性格

    (關西日中關係學會・神戸社會人大學共編『現代中國の諸問題と日中關係』

    (櫻美林大學北東アジア綜合研究所、2014年、への原稿)

10) 中国現代史一夕噺──若き初心者への談話──

    (拓殖大學海外事情研究所『海外事情』中國特集號 2014年 2月號)



【口頭發表】

1)1月18日  蘆屋讀書會 (津村宅) :「習近平政權:二周遲れの帝國主義」

2)2月21日  大河の會定例勉強會 (小野市) :「歴史に學ぶ──日本編」

3)3月24日  擴大伊原ゼミ「三碓會」(岸和田 牛瀧温泉):

    「習近平政權は何をしでかすか?」

4)4月25日  21世紀日亞協會(大阪):「動く中台關係──台灣は何處へ行く?」

5)5月19日  小野市國際交流協會 (小野市) :「歴史の教訓──東アジア ノ 場合」

6)7月22日  伊原塾第一回 (大阪) :「日本の昨日・今日・明日」(序論編)

7)7月25日  大河の會定例勉強會 (小野市) :「大東亞戰爭とアジアの獨立」

8)7月27日  鹽尻公明會 (大阪) :

    「晩年の鹽尻公明先生──社會思想研究會と帝塚山大學」

9)8月19日  伊原塾第二回 (大阪) :「日本の昨日・今日・明日」 (江戸時代編)

10)9月10日  私立靜宜大學 (台中) :「最近の東アジア情勢」/「台灣で學ぶこと」

11)9月25日  伊原塾第三回 (大阪) :「日本の昨日・今日・明日」 (明治大正編)

12)10月25日  伊原塾第四回 (大阪) :「日本の昨日・今日・明日」 (昭和戰前編)

    → 颱風27號の到來により休講

13)10月31日  ひょうご講座「現代中國の諸問題と日中關係」(神戸):

    第9回「習近平體制の基本性格」

14)11月7日  台灣大學人文社會高等研究院日本韓國研究プラットホーム主催

    第四回日本研究年次大會

  「國際日本研究の可能性を探る──人文・社會・國際關係──」の專題演講 (台北):

  「世界の行末と日本文明」

15)11月22日  伊原塾第四回 (大阪) :「日本の昨日・今日・明日」 (昭和・平成編)

    → 脊椎の壓迫骨折は、この直後に發症しました。

16)11月28日  21世紀日亞協會(大阪):「胎動する台灣──馬英九 最後の鬪爭」

    →不參加。拙稿「台灣に關する常識」による討議 (岡本幸治さんが指導)

17)12月16日  伊原塾第五回 (大阪) :「日本の昨日・今日・明日」

    (總集編と將來の展望+懇談)  → 不參加

18)12月27日  EAS研究會 (京都) :「驕るシナに馴合ふアメリカ」 → 不參加

19)1月17日  蘆屋讀書會 (津村宅) :「驕るシナに馴合ふアメリカ、毅然たるべき日本」

    → 中止。別人の報告へ




【第13回「伊原ゼミ三碓會」 (伊原擴大ゼミ勉強會/自由參加) 豫告】

  幹  事 (3期生):駒井  洵子 (0743-73-6618)

                  中島  敦子 (06-6921-0894)

                  池田由紀江 (0855-23-0897)

  日  時:平成26年3月22日 (土) 12時  〜 23日 (日)

  場  所:青葉茶屋 (女將=帝塚山大學經濟1期 岡村眞希さん) 

              奈良公園  淺茅ヶ原内    電話 0742-22-2917

          〒 630-8301  奈良市高畑町 1169

            (近鐵奈良驛 カラ 徒歩15分/春日大社 一の鳥居を潜って右の丘の上)

        市内循環バス「春日大社表參道」下車 徒歩3分

        近鐵奈良驛から タクシー 5分/駐車場あり

  集  合:22日 12時 (正午)  現地「青葉茶屋」集合

            12:00~16:00  晝食 (各自 近況報告) と 勉強會 (伊原先生のお話)

              16:00~17:30  自由:散策などされてはいかが?/入浴する手もありますね

              17:30~19:00  二次會 (夕食)  → 伊原はここまでで泊らずに歸宅します

          23日 奈良公園早朝散策 (其他 ノ プログラム未定/提案 大歡迎)

    → 皆さん、奈良公園を樂しまれよ!

  會  費:A    3500圓 (晝食+勉強會)

          B    9000圓 (二次會まで)

          C 1萬6000圓 (宿 泊 も/夕食後の團欒もありますよ!)

  返  事:1月中に幹事へ申込むこと (折角の機會、皆さんぜひ一泊されますように!)


  勉強會の テーマ:同封した資料 (拙稿若干) を手掛りに討議します。目を通して置かれたし

    下記の書物を讀んでをかれるとなほ宜しい。

    (田中英道のどれか一册をお讀みなさい)


    cf. エドワード・ルトワック『自滅する中國:なぜ世界帝國になれないのか』

              (芙蓉書房、2013.7.29)  2300圓+税

            シナは強國化することにより、周邊國を團結させ、

            平和共存を不能にし、自滅する道を歩んでゐる……


        馬  曉華『幻の新秩序と アジア太平洋』 (彩流社、2000.3.31)  4000圓+税

            アメリカ が シナ と馴合ふ所以を歴史的に跡附けた興味深い學術書


        中西輝政『國民の文明史』 (産經新聞社、平成15/2003.12.20)  1714圓+税

            日本が如何に素晴らしい國かを歴史的に説いた日本人必讀の書物


        馬淵睦夫『感動的な「日本」の力』 (總和社、平成24/2012.2.25)  1000圓+税

            外交官として外國に日本の良さを傳へる仕事をし、

            日本の良さに目覺めた元大使の魂の告白


        田中英道の「本當は何が凄いのか」シリーズ 3册

            (育鵬社、平成24/2012〜平成25/2013)

          『日本の歴史』『日本の文化』『世界史の中の日本』

            1500圓・1400圓・1400圓