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「 年頭に想ふ 」 ( 『 國民新聞 』 第19161號/平成23年1月31日、3面 )
( 伊原註:少し字句を變へ、大幅増補してあります )
蔓延する經綸皆無の政治家
そんな政治家を蔓延らせたのは誰のせい???
尖閣問題を通じて日本の歴代政權が 「 滅公奉私 」 を旨として來たことが明明白白になりました。
戰後の歴代政權は、反日勢力に浸透されて來ました。
先づ、戰前からのいきさつで南北朝鮮人に浸透され、
次に、敗選−米軍占領を通じて米國に浸透され、
更に、米帝と對決するため日本を取込まうとした毛澤東の中共に浸透され、
彼らと協力する反日日本人が大勢ゐて連携して日本の良き部分を破壞したのです。
要するに、自民黨政權以來、日本政府は周邊諸國に貢獻して來ました。
そして──
拉致された自國民を救はず放置し、
占據された島を取り返さうとしない政府でした。
國家の防衛と安全保障を外國に任せ、利權を殖やすことに熱心でした。
その結果、税金にたかつて自分の暮しを樹てるだけで經綸絶無といふ政治家が蔓延つてをります。
( そして、彼らを蔓延らせたのは、その都度投票で支へて來た日本の有權者、つまり私達自身です )
( この痛切且つ深刻な自責の念なしには、事態は改善しません )
自民黨はシナに資金を流して利權を政治資金にすることを繰返し、
だからひたすら中共のご機嫌を損ねぬやう配慮して來ました。
利權優先・國益後回しの施政に有權者から愛想を盡かされて
民主黨に政權を讓りましたが、
民主黨は日本破壞の反體制派を抱へ込んだ政治勢力ですから、
反日では、自民黨よりなほ酷い。
これが、戰後民主主義の成れの果てです。
( 伊原註:民主主義とは、政權担黨勢力を決める有權者が、
( 結果が惡くても反省もせず責任も取らない、實に無責任な體制です。
( 尤も、さうなつたのは、日本の政權が政界・財界・官界・メディア界が結託して
( 利權山分け・税金配分をやつたからです。
( つまり、日本の民主主義に、政權を監視・批判する勢力が缺如してゐたのです )
日本國民は尖閣事件でやつと戰後體制の問題點に氣付いたやうですが、
反體制派は既に權力を握り、日本破壞を着々と實行してゐるのです。
一刻も早く方向轉換しないと、日本はこの儘滅んでしまふ恐れがあります。
でも、誰が 「 方向轉換 」 させるのか?
結局は、有權者が批判の聲を擧げ、批判の投票をすることによつて、です。
でないと、 「 お先真つ暗 」 「 地獄へ轉落 」 となります。
伊原追記:1月30日深夜、上記をメールで送って一夜明けた 1月31日付 『 日經 』 17面に、
VIEW POINT として
ピムコ・ジャパン社長 高野 真さんの 「 今こそ日本の良さに目を 」
と題する一文が載りました。
その大意は以下の通り。
日本はどうした? 内政・外交・財政・經濟 共に行詰り、高齢者は希望を失い、
働き盛りの壯年層は老後を案じ、若者は勞働意欲を・學生は就職機會を喪失、
子供達は夢を持てない。
中國の擡頭は確かに著しくはあるが、
日本はなほ、中國と共に米國に次ぐ經濟大國ではないか。
官民合せた研究開發費は世界第一位、
特許取得件數では斷凸の首位──といふ、技術大國でもある。
財政問題が取沙汰されてはゐるが、
日本は、19年連續 世界一の 270兆圓弱 といふ
厖大な對外純資産を保有する債權大國だ。
日本の陸地領土面積は 世界第61位に過ぎないが、
海洋立國の側面からすると、
地下資源豊かな排他的經濟水域では カナダに次ぐ世界第6位。
このほか、識字率も世界一、治安も世界一、……
かくも素晴しい側面を、
人口では中國の10分の1、米國の 4割 の 我國が保持してゐることに
誇りを持たう!
昨年實施された 英國放送協會 BBC と 讀賣新聞 の共同調査によれば、
日本は 「 世界に良い影響を與へてゐる國 」 の 世界第2位!
日本は決して 「 沈没船 」 ではない。
今こそ日本の良さを伸ばす取組が必要だ、
──と 高野社長は結びます。
伊原コメント:第一、こんな日本がお人好しにつけ込まれて狙われてゐるのです。
狙ふ無法者を排除する用意に缺陷があるからです。
「 天ハ自ラ助クル者ヲ助ク 」 を國民が尊んでゐない。
第二、日本の問題點の最大のものは、指導者の小粒化、指導者らしい指導者の不在です。
だつて戰後、乃木大將凡將論を初めとして、偉人の足引張りばかりやつて來た。
指導者養成をして來なかつたからです。
民主主義は、立派な指導者なしには成立たない政治制度なのに!