食の安全性の重要性

天津日記5(2007年1月8日)

株式会社大協 企画室

中国・南開大学大学院経済学研究科 古森崇史


<食の安全性の重要性>

私は、天津に来てから2年と少しが経ちますが、その間に現代的なスーパーや百貨店等は本当に増えました。ある統計によると2005年の外資系小売業の売り上げ等は以下(資料)の通りです。日本の会社では、イトーヨーカドーが15位、ジャスコが16位と比較的上位にランクされています。この二つは店舗数がまだ少ないですが、今後は順位を更に上げると思われます。

(資料)
順位 会社名 国・地域 売上高(単位:万元) 店舗数
1 カルフール(CARREFOUR) フランス 1743580(約2615億円※) 70
2 RT−MART 台湾 1570000(約2355億円) 60
3 YUM! アメリカ 1330000(約1995億円) 1700
4 Trust Mart 台湾 1320000(約1980億円) 105
5 Vanguard 香港 1201946(約1803億円) 509
6 Parkson マレーシア 1100000(約1650億円) 36
7 Lotus タイ 1006000(約1509億円) 61
8 ウォルマート(Wall−Mart) アメリカ 993370(約1490億円) 56
9 Hymall イギリス 792000(約1180億円) 39
10 METRO ドイツ 754633(約1131億円) 27
15 イトーヨーカド―(SEVER&1) 日本 310000(約465億円) 7
16 ジャスコ(JUSCO) 日本 190900(約286億円) 10

 なぜ、こんなに早く外資系のスーパーが成長したかについては「国有企業はあまりやる気がなかったから外資系に負けた。」「外資系の経営戦略が優れている」等色々と言われていますが、一番大きな原因は個人的には食品が安全である可能性が高いという事ではないかと思います。

 中国人の多くの人は、自分が食べている物が安全かどうか不安であるけれども仕方なく食べているのです。「緑色食品」という安全性を保証するものもありますが、その緑色食品が本物かどうかも確信が持てないのです。これは、スーパー等小売業だけの問題ではなく、外食産業でも同じです。先日、テレビで、違法な油の製造過程等が放映されていました。残飯等を原料に油を作って安く売っているのです。(いわゆる屋台などではこの油を使う可能性が高いようです。)警察も必死に摘発していますが、なかなか無くならないのが現状です。

 日本では、「中国産の食料は危険だから食べるな」等中国人が加害者のような報道が多いですが、それを食べざるを得ない中国人も被害者なのです。中国の人々も違法業者に対し、本当に怒っています。「食の安全性の確保」は、中国では本当に切実な問題です。