中国人の学生は、日本をどう見ているか

中国人の学生は、日本をどう見ているか

株式会社大協 企画室

中国・南開大学大学院経済学研究科 古森崇史


1・天津外国語大学中国語学部で感じた事

  中国にいる日本人留学生のうち90%以上が、(たいてい外国人専用の)中国語学部で学び、その中の何割かの学生が日本語を勉強している中国人とお互いに一時間ずつ会話を練習する「相互学習」という勉強法を行っています。

  私も、以前天津外国語大学で中国語を勉強していた頃、毎日夜2時間いろんな学生と相互学習をしていましたし、毎日昼2時間優秀な学生に家庭教師をしてもらっていました。ほぼ全員が、出来ることなら日本に留学したいと言っていました。(家庭教師の一人は現在東京で留学中です。)実際、大変多くの中国人学生に、日本の大学に送る書類の訂正などを頼まれました。彼らの文章を読んで感じた事は、日本の大学を卒業後何がしたいのかよく分からない人が多かったのですが、とにかく日本に行きたいという熱意を感じる文章が多いという事でした。

  また、とにかく日本人と話したいという事で、(外国人専用の)中国語学部の教室の外に休み時間等にわざわざ来る学生もたくさんいました。それから、朝6時半位から大変多くの学生がキャンパスの至る所で日本語の教科書を音読していました。

  さらに、ある日本語学部の学生は、6000元(当時7万5千円位)の学費が準備できず困っていましたが、中国人学生・留学生などが少しずつお金を出し合って学費を用意しました。その時の、その学生の嬉しそうな姿は忘れる事ができません。もちろんその学生は、大変真面目な人物で、成績も大変良いです。

  このように、一生懸命日本語を勉強し、日本に留学する事を希望する人達を見て、「中国人にとって日本は憧れの国なんだなぁ。」と感じていました。


2・南開大学の大学院で感じた事

  私は、大学院に入ってすぐに相互学習する相手を、クラスメートの中から見つけ、勉強を開始しましたが、日本語は難しすぎるといって、簡単にあきらめてしまいました。結局クラスメート達が協力して探してくれて、南開大学の日本語学部と経済学部を両方卒業した金融学専攻の学生等と相互学習する事が出来ました。この時みんなに、「もしあなたがアメリカ人だったら、今すぐにでも一緒に勉強したいけど、みんな日本語を勉強する興味も時間もないからなぁ。」と何度も言われました。

  また、日本の企業に興味あるかと聞いてもあまり興味は無く、学生の目は欧米の企業か、中国の国家公務員になる事等に向いています。日本経済へのイメージも、「確かに現在は先進国で経済水準などは高いけど、これから上昇するかどうかは不明。」等と否定的な感じです。中国で日本語を勉強している人は、急増中ですがまだ少数です。大部分の人は、このように考えているのかもしれません。それだけに、日本にいる「正規の」中国人留学生たちには、日本を好きになってもらいたいと思います。