共産党員の学生について

天津日記15(2007年6月28日)

≪共産党員の学生について≫

株式会社大協 企画室

中国・南開大学大学院経済学研究科 古森崇史


(1)今日(6月28日)は、南開大学大学院の卒業式でした。無事に卒業する事が出来ました。正直言って嬉しいというより、ホッと安心しています。思えば、中国に来てから、本当に色々な人に支えて頂いたと思います。本当に、感謝の気持ちでいっぱいです。

例えば、去年の今頃は、期末試験期間で、計量経済学のテストの準備で苦しんでいた事を思い出します。南開大学は、数学の研究が有名な事もあり、大学院生全員が、計量経済学を履修しなければなりません。成績は、テストとレポートで決定されるのですが、日本の大学の法学部を卒業している私にとって、大変つらい科目でした。第2学期に授業がある事が予め分かっていましたので、大学院に入学してからすぐに入門レベルの計量経済学のテキストから勉強をし始めました。授業は、大学の復習と大学院のテキストの前半部分と後半部分に分け、3人の先生方が担当されていました。特に後半部分は、海外で博士号を取られた先生が、全て英語で授業をされました。ただでさえ難しい後半部分を、全て英語で講義するため、私はもちろんの事クラスメート達も大変苦労しました。

このままでは、期末試験に合格できないと思いましたので、数学科を卒業したクラスメートや計量経済学が得意なクラスメート等に頼んで、期末試験の過去問やテキスト等を、テストの約1ヶ月前から毎日数時間、図書館で解説してもらいました。皆レポート作成やテストの準備で忙しいにも関わらず、嫌な顔一つせず来てくれました。何とかぎりぎりの成績で合格し、クラスメート達も「よかったな。」と大変喜んでくれました。


(2)これは、単なる一例に過ぎませんが、今まで色々な中国人と交流してみて、私が見るところ、共産党員の学生は、人格的にも能力的にも大変優れている人の割合が大変多いような気がしました。

私は共産党員ではありませんし、共産党と利害関係もありませんが、共産党員の学生は本当に優秀です。学生で共産党になるには、大まかに言って、複数の教授等の推薦、観察期間、試験等多くの関門をクリアしなければなりません。最近、日本で報道されているのとは異なり、大学生の場合ですと、多くの学生が共産党員になりたがっています。先生の前だけでいい生徒を演じて、共産党員になろうとしても、必ず途中でばれますので、まず党員になれません。大学生のうちに共産党員になれるのは、かなり少なく、20人のクラスなら大体5人以下ですが、大学院生ですと、急激に割合が増えます。クラスで、いわば「要」のような役割を果たす学生は、たいてい共産党員です。「こんなに正確に、優秀な学生をどうやって選んだのだ?」とこちらが驚く位です。

そして、信頼が最も重要視される政府や国営銀行等へ就職するのは、たいてい共産党員です。このことについて日本では、少し誤解されているような感があります。もし、私が採用の担当者であり、学生の履歴書に共産党員であるか否かを書かさなかったとしても、(結果として)恐らく共産党員の学生を採用してしまうのではないかと思います。


(3)彼らの内、相当数が海外へ留学しますが、彼らがもし日本へ留学しに来たら、少なくとも日本に好意を持ってもらうようにし、出来れば親日派になってもらうような政策を打ち出す事は、日本の国益の点から見ても大切な事だと思います。具体的には、日本に共産党員の学生が留学した時には、色々と面倒を見るのも一つの方法だと思います。