天津日記1

天津日記1

株式会社大協 企画室

中国・南開大学大学院経済学研究科 古森崇史


1・自己紹介

  私は、中国・天津市の南開大学大学院経済学研究科で世界経済の研究をしている古森崇史と申します。2004年から2005年までは、天津外国語学院(大学)の中国語学部で勉強をし、2005年からは南開大学で大学院生として世界経済(中国では政治経済学の一分野)を専攻しています。現在、経済学研究科の大学院には、日本人が私一人しかおりませんので様々な人に日本の事をよく聞かれます。今後、中国で感じた事などを述べさせていただきたいと思っております。


2・天津について

  天津は、北京・上海・重慶と並んで中央政府が管轄する都市であります。北京より少し規模が小さな都市と思ってもらえればいいと思います。ただし、人口は1100万人以上おり、東京とほぼ同じ人口ですし、一人当たりのGDPなども省・直轄都市の中では3番であります。はっきり言って、観光地としては全然魅力が無い都市ですが、工業・貿易・金融などの方面が極めて発達しており、「質実剛健」という言葉が合う都市だと思います。現在の、市長は戴相?氏です。戴市長は、中国の中央銀行である中国人民銀行の総裁を務めた方で、日本銀行総裁等との交流がありますし、当然金融の分野については精通されているため、南開大学大学院の経済学研究科で博士課程の学生の指導もされています。(将来、戴市長が中国の最高指導部の一人になるのはほぼ間違いないと言われています。)そのため、天津には市内の解放路と経済開発区の2カ所に金融街があります。現在、天津の中国での金融のシェアは20%近くです。


  天津の将来像としては、独自に発展するのではなく、北京と共に発展していこうという路線のようです。天津には、大きな港があるため、(港の無い)北京にとって、更には中国政府にとってもその選択肢以外は考えられないはずです。中国で、「?小平の時代は深?、江?明の時代は上海、胡?涛の時代は天津(が伸びる)」と最近言われているように、今後天津が中国で今まで以上に重要な都市になるのは間違いありません。また、トヨタが天津に進出している事もあり、天津の日系企業は、2005年末には1800社前後存在し、最近は大体1年で300社位の割合で増加しています(ただし、トヨタ関係の会社が多いです)。今後も、更に日系企業の進出が予想されます。現在、北京駅から天津駅まで電車で1時間15分位ですが、来年には30分以下で着くようになる予定です。現在でも、北京の人が、物価が安いという理由で、天津で結婚式を挙げる人も珍しくありません。このように、中国人にとって両都市は、遠いという感覚は全然無いようですから、将来は天津から北京に毎日通勤する人が出るのかもしれません。ちなみに、私のゼミの先輩の中に、結婚して夫が北京で働いているため、北京で部屋を買い、(博士課程の学生で授業も少ないため可能なのかもしれませんが)北京から通学している人がいます。