農村調査からみた中国:内陸農村の貧困構造と出稼ぎ

第63回例会のご案内


 今から十年ばかり前まで、日本経済は意気軒昂として世界の注目の的であった。「二十一世紀は日本の世紀」という観測が流行ったものである。ところが、経済に限らず、政治、社会面における近年の目を覆うばかりの状況によって、日本人自身が自信を喪失して心理的に萎縮し、かつての日本バッシングは、日本パッシングへ、そして今では日本ナッシングになりつつあるなどといわれるようになった。代わって威勢の良いのが中国であるが、沿岸部の発展のみで全体を論じたり、最近の経済成長率の大きさのみでこの国の将来を占うのは果たして正しいのであろうか。今なお膨大な人口を抱えつつ大きな変動課程にある農村の現実を知ることは、中国社会の将来像を測る上でも不可欠の作業であると考える。長年の実体調査を踏まえた専門家の報告に耳を傾けたい。


日時:平成 13年3月15日(木) 18:00−20:00

場所:大阪大学工業会館 最寄り駅:JR大阪駅西口、地下鉄西梅田・北新地など

   (北区堂島2−2−2 近鉄堂島ビル20階 電話06−6344−6171)

会費:正会員1000円(法人、特別、学生会員は不要)、非会員2000円

講師:石田 浩 関西大学経済学部教授

演題:農村調査からみた中国:内陸農村の貧困構造と出稼ぎ


<講師紹介>

 1946年大阪生まれ。京都大学農学部農林経済学科卒業後、同大学院修士・博士課程終了。農学博士。81年関西大学経済学部専任講師に就任以来、中国、台湾を毎年2〜3回は訪問し、資料収集と農村調査を実施。中国農村は隈無く歩き、観念的な理論ではなく、事実から議論をくみ立てることをモットーに、フィールドワークを重視した研究を展開。中国の南京、遼寧、復旦、北京の諸大学、台湾の中央研究院中山社会科学研究所、同近代史研究所、ワシントン大学などの客員研究員を経て現職。


<最近5年の主な著書>

『わがまま研究者の北京奮戦記ー経済の発展と貧困の社会』(近刊)晃洋書房 『中国農村開発戦略ー農民は豊かになったのか』関西大学経済政治研究所 『台湾経済の構造と展開』大月書店 『アジアの中の台湾』関西大学出版部 『中国伝統農村の変革と工業化』(編著)晃洋書房 『中国同族部落の社会経済構造』関西大学出版部