台湾原住民族と靖国訴訟


   日亜協会 第294回 例会 ご案内


 台湾は,1945年10月25日,安藤利吉台湾総督兼第十方面軍司令官が降伏文書に署名して日本の統治から脱し,1947年2月の「228事件」を契機に国民党政権が戒厳令を布き,1949年5月発令の戒厳令は38年後の1987年に解除されました。この間,「本省人」と「外省人」との「対立」が続きました。本省人初の中華民国総統となった李登輝は民主化を進め,台湾は国際的には「国家」として承認されていないなか,急速に「民主国家」の様相を呈するようになりました。そのなかで台湾原住民はどのような立場に置かれていたか,民族としてのアイデンティティ(自己認識)をどのように回復しようとしたかを,台湾をめぐる国際情勢が緊迫する状況のなかで,「台湾靖国訴訟」を担当した立場から考えてみます。


日時:令和4年3月25日(金)18:20〜20:30 18:20開演(開場18時)


会場:大阪市立総合学習センター(大阪駅前第2ビル)5階 第5研修室


会費:千円 (非会員二千円),学生200円


講師:中島 光孝 大阪弁護士会 弁護士


演題:台湾原住民族と靖国訴訟


 今回は,@「靖国訴訟」とはなにか,A靖国訴訟になぜ「台湾原住民族」が原告として参加したか,B台湾原住民族原告にとって靖国訴訟はなんだったのか,C「先占法理」によって奪われた台湾原住民族やアイヌ民族の「財産」「文化」はどのようにして「回復」が図られているか,という観点から考えてみます。日本国憲法の政教分離規定に基づく一連の政教分離訴訟を担当するなかで,台湾原住民族の権利回復運動を行っている台湾の団体と日本の政教分離訴訟を進めている団体からの依頼に基づき「台湾靖国訴訟」を台湾原住民族原告の代理人として担当しました。その経験を踏まえて考えます。


〈講師略歴〉

 1949年北海道生まれ。北海道大学法学部卒業。日鉄室蘭(電気整備),農林中央金庫,金融情報システムセンターを経て弁護士開業。同志社大学法科大学院客員教授,立命館大学法科大学院常勤講師,大阪市立大学大学院常勤講師。大阪弁護士会公益通報者支援委員会委員長,大阪労働者弁護団代表幹事等を閲歴。三菱長崎造船所事件,住友ゴム工業事件,砂川政教分離訴訟,水俣訴訟,ハマキョウレックス事件等を担当。『還我祖霊』(白鐸社),「労働者視点でめざす同一労働同一賃金」(日本加除出版)などの著書あり。