チベット女流作家オーセルさんの緊急の呼びかけ

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劉燕子(リュウ・イェンズ)女史よりチベットの現状をメール頂き、転載の許可を得て掲載させて頂いております。



  以下の呼びかけに是非とも目を通してください。痛みと苦しみを分ちあえることを願いつつ・・敬具。劉燕子


2012年3月9日


チベット女流作家オーセルさんの緊急の呼びかけ


  圧政はいかに大きくとも、どうか命を大切にしてください。


  チベット人抗議焼身自殺のニュースが次々に伝わってきました。既に26人目になっています。このニュースが入るたびに、心が引き裂かれるほど悲しみのどん底に落ちます。


  第16人目の抗議尾焼身自殺者は、アムドのゴロのソバ・リンポチェで、その遺言は、次の通りです。


  「仏陀が、昔、命を捨て、虎に捧げたように、他に犠牲となったチベット人と同様に、真理と自由と大義のために命を捧げることに決めました。」


  これは今日、世界で稀に見られる献身です。これはチベット民族に対する深甚なる影響をもたらしています。これを私たちは永遠に心に刻みます。


  そして、26人が我が身を炎と化したことは、十分にチベット人の意志を表明しています。しかし、これは最終的な目的ではありません。希望を現実にすることが、私たちの最終的な目的です。


  命の存続こそ、希望を現実にできます。もし、抗議焼身自殺が続いていけば、その一人一人の命を希望へと転化できない損失となるでしょう。ですから、私たちは心より願います。


  ただ今から抗議焼身自殺を止めましょう。一人一人のチベット人は命を大切にして、生き抜きましょう。圧政がいかに大きくとも、私たちの命は重要です。生き抜いてください。


  抗議焼身自殺では、私たちの現実を変えられません。私たちを憎む人は密かに、みんな死んでしまえば一番いいとたくらんでいます。


  私たちは生き抜いて、奮闘・努力してこそ現実を変えられるのです。生きている私たちは、一滴の水です。この一滴一滴が合流していけば大海原になります。


小さな努力の積み重ねこそ、現実を変えられます。


  不死鳥のごとく立ちあがるチベット人こそ、私たちの民族の血脈を継承することができます。


  私たちは呼びかけます。チベット各地の僧侶、長老、知識人、民衆は自分の信者、家族、村民たちを守ってください。抗議焼身自殺の再発を防いでください。


チベットに関わる各組織、機関はただちに行動しましょう。抗議焼身自殺の拡大や加速を防ぐことを、当面の急務としてください。


  チベットの未来は、私たちチベット人によるものです。


  オーン・マニ・パドメ・フーン(六字真言、蓮華の宝珠よ、幸いあれ)。


  チベットを見守ってくださる国際社会の良識ある人々にもお願いします。チベットの現状と、チベット人の意志に注目し続けてください。


  そして、この呼びかけに賛同してくださる方は、以下のサイト、フェイスブック、ツイッター、アドレスに氏名、住所、所属などを書いてください。公開したくない人は、その旨を付記してください。




http://woeser.middle-way.net


ツィッター、フェイスブック(@degewa )、


Email:Putixin2010@gmail.com


<劉 燕子女史 プロフィール>

  中国北京に生まれ、湖南省長沙で育つ。1991年、留学生として来日し、大阪市立大学大学院(教育学専攻)、関西大学大学院(文学専攻)を経て、現在関西の複数の大学で非常勤講師。

  訳書に『黄翔の詩と詩想』(思潮社)、『温故一九四二』、(中国書店)、『中国低層訪談録―インタビューどん底の世界』(集広舎)、『殺劫:チベットの文化大革命』(中国書店、共訳)、『ケータイ』(桜美林大学北東アジア総合研究所)、編著訳に『天安門事件から「〇八憲章」へ』(藤原書店)、共著に『「私には敵はいない」の思想』(藤原書店)、監修・解説に『私の西域、君の東トルキスタン』(集広舎)があり、中国語著書に『這条河、流過誰的前生与后世?』など多数ある。2010年12月、劉暁波氏のノーベル平和賞受賞に際し、NHK「おはよう日本」などで出演した。最新の論文に「わが友、冉雲飛」『正論』2011年8月号がある。

  集広舎のサイトにおいて「燕の便り」のコラムで中国亡命知識人やチベット問題などについて報告している。